さくっと合格レシピ
- 2020.03.23
- 理論
力率と効率の違いとは?
「力率と効率は同じものと考えていいですか?」という質問を受講生からたびたびいただきます。
電験三種を学習していると、どちらもたくさん出てくる言葉です。
この2つのイメージは確かに似ていますが、まったく同じものではありません。
それぞれがどういったものを指しているのか、何が異なるのかを理解しておきましょう。
目次
効率とは?
効率()とは、機械の入力〔kW〕と出力〔kW〕の比のことです。
言い換えれば、機械が受け取ったエネルギーと、機械が仕事をしたエネルギーとの比です。
=出力〔kW〕/入力〔kW〕
また、入力-出力は、機械の損失となります。
力率とは?
力率()は、交流回路において、負荷で消費される有効電力
〔W〕と電源から送り込まれる皮相電力
〔V・A〕との比で表されます。
力率=有効電力〔W〕/皮相電力
〔V・A〕=
=
このは電圧
と電流
の位相差です。
また、力率は0~1〔p.u.〕(0~100〔%〕)です。
〔p.u.〕(パーユニット)は1に対する、〔%〕は100に対する割合を表します。
消費電力が100〔W〕で力率が0.8の負荷には、125〔V・A〕の皮相電力を電源から送り込む必要があります。
力率が0.8ということは、送り出した電力のうち8割が有効な仕事をするので、力率は交流電力の効率を表しているようなイメージです。
しかし、これはあくまでもイメージです。
力率と効率の違い
ある機械において、効率が80〔%〕であるとします。
すると、残り20〔%〕は損失です。
これは、出力と損失を合わせると入力になるからです。
それに対し、ある機械の力率が80〔%〕だったとします。
ここで、残りの20〔%〕が無効電力だとすると誤りです。
有効電力〔W〕と無効電力
〔var〕は、単純に大きさを足し算しても皮相電力
〔V・A〕にはならず、
です。
ですので、単純に残りの20〔%〕分が無効電力だと考えることができないのです。
このように、とてもよく似ている力率と効率ですが、効率の入力・出力・損失の関係と、力率の皮相電力・有効電力・無効電力の関係には違いがあります。
全く同じだと考えると計算などで誤ってしまいますので注意しましょう。