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- 2021.12.27
- 理論
電気回路のきほん「電圧降下」とキルヒホッフの第2法則
「電圧降下」は、抵抗などで文字通り電圧が下がることです。
簡単なように思いますが、実際に電気回路で計算するときに、この電圧降下をしっかり理解しているかどうかで、回路の見方が上手に早くできるかどうか、大きく分かれます。
今回は「電圧降下」について、基礎から説明し、電圧降下の超重要法則である、キルヒホッフの第2法則についても考えていきます。
目次
「電圧降下」とは?
最初にも記述したように、「電圧降下」は、抵抗などで電圧が下がることです。
もっときっちり説明すると、電圧降下は、抵抗などに電流が流れることで電位差が発生することを言います。
一番シンプルな回路で考えてみましょう。
電源に抵抗を1つ接続します。すると、電流が流れ、抵抗で電圧降下が起こります。
抵抗で電圧が下がるということは、電流が抵抗を通過する前のほうが電位が高く、抵抗を通過した後のほうが電位が低いということです。
この電位差が電圧降下の大きさで、私たちが問題を解くときによく計算しているものです。
計算では大きさを計算していますが、抵抗のどちら側が、電位が高い方なのかというのも、電圧降下を考える上で非常に大切です。
電圧降下の超重要法則 キルヒホッフの第2法則
キルヒホッフの第2法則は“電圧則”とも言われ、回路の電圧に関する法則です。
閉回路において、「起電力の和=電圧降下の和」が成り立ちます。
電源(起電力)、電流、抵抗は、それぞれポンプ、水、水車で例えられます。
電源については、下記関連リンクの記事もぜひお読みください。
水車では水が高いほうから低いほうへ流れていきます。
つまり、抵抗では電流が高い方から低い方へ流れているのです。その高低差、電位差が電圧降下の大きさになるわけです。
低いほうへ流れていった水をどこかでポンプを使って引き上げると、また水車へと循環させることができますよね。
電気回路でも、電源があることにより電位が上昇し、また抵抗へと循環していきます。
このとき、電源で上がる電位差と、抵抗で下がる電位差の大きさは同じです。
これが、キルヒホッフの第2法則です。
キルヒホッフの第2法則を使った式の立て方
電験三種でも非常によく使う法則ですが、使い方に悩まれるかたも多いです。
何に悩まれるか、一番は電圧降下の符号ではないでしょうか。
実際に次の回路を使って考えてみましょう。
まずは閉回路(1)について考えてみます。
起電力の和はです。
次に、電圧降下について、→
→
→
と閉回路をみたとき、抵抗を流れる電流
と
は、
→
→
→
の向きと同じです。
つまり、→
→
→
と閉回路をみたとき、ちゃんと
と
で電圧が下がっているので、電圧降下の和は
です。
以上より、という式が立てられます。
次に閉回路(2)について考えてみます。
起電力の和はです。
次に、電圧降下について、→
→
→
と閉回路をみたとき、抵抗を流れる電流
と
は、
は
→
→
→
の向きと同じですが、
は逆です。
よって、→
→
→
と閉回路をみたとき、
では電圧が下がっていますが、
では電圧が上がってしまっています。このことから、電圧降下の和は
と、
の電圧降下
の符号はマイナスとなります。
以上より、という式が立てられます。