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- 2022.02.10
- 理論
電気回路のきほん「電荷がたまる」とは?
電験三種の理論において、静電気の分野の問題として、コンデンサに電源を接続して充電したり、充電したコンデンサを並列に接続したり、様々な問題が出題されます。
充電とは、簡単に言うとコンデンサに電荷がたまることですが、この「電荷がたまる」とはどういった現象かイメージが正しくできると、様々な問題への対応がしやすくなります。
今回は「電荷がたまる」とはどういうことか解説し、直列接続したコンデンサを充電するときの電荷の移動についても考えます。
目次
「電荷がたまる」よくあるイメージ
下図のように、コンデンサCがスイッチSを介して電源Eに接続されている、シンプルな回路を考えます。
スイッチを閉じると、右図のようにコンデンサが充電され、電荷がたまりますね。
いろんな問題を見ても、コンデンサに電荷がたまるという図はこのようなものがほとんどだと思います。
この図を見て、最初何もなかったコンデンサに電源がつながることによって、「電荷がどこからか現れた」と思った方が多いのではないでしょうか?
「電源から電荷が供給された」と考えている方も多いと思います。
実はこのイメージ、実際に起こっている現象と異なります。
また、コンデンサに電荷がたまることを「電荷がどこからか現れた」とイメージすると、最初何もなかったコンデンサには「電荷がない」ということになりますよね。
「0〔C〕」=「電荷がない」と考えていらっしゃる方が多いかもしれませんが、実はこのイメージも正しくありません。
「電荷がたまる」とは
では、正しくはどのような現象が起こっているのでしょうか。
まず、充電前の0〔C〕の状態は、電荷が存在しています。正電荷と負電荷の数が同じ状態で互いに打ち消し合い、電荷の偏りが発生していない状態、これが0〔C〕です。
よって、充電前のコンデンサには正電荷と負電荷が同じ数存在しています。
ここで、電源が接続されると電流が流れます。電流の正体は電荷の移動で、電流の向きは負電荷である電子の移動と逆の向きです。
つまり、正電荷は電流と同じ方向、負電荷は電流と逆の方向へ移動していきます。
これが充電です。
どこからか電荷が現れたわけでも、電源から電荷が供給されたわけでもなく、元々存在した電荷が移動し、電荷の分布に偏りが生じただけです。
「直列接続したコンデンサは全て同じ電荷量が充電される」とは
以上を踏まえて、2つのコンデンサを直列接続して充電した場合を考えてみましょう。
2つのコンデンサはそれぞれ0〔C〕です。
電源が接続されると、下図のように電荷の移動が起こります。
ここで、2つのコンデンサにおいて、それぞれ電源に接続されていない方の極板についても、静電力により、同符号は引力、異符号は反発力が働くことから、電荷の移動が起こります。
これが2つのコンデンサを直列接続して充電した場合の電荷の移動で、それぞれ同じ電荷量となっていることがわかります。
まとめ
このように、「電荷がたまる」とは、電荷がどこからか現れるということではなく、元々存在した電荷が移動し、電荷の分布に偏りが生じることです。
厳密には正電荷は移動せず、負電荷である電子のみが移動することができますが、問題を解く上では、電流の向きに正電荷が移動すると考えても問題ありません。
また、電流の流れと電荷の移動は深い関係があります。
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