1.誘導起電力について
誘導電動機の誘導起電力はフレミングの右手の法則によって発生します。
そこで、フレミングの右手の法則について、改めて考えてみます。
フレミングの右手の法則によって、導体に起電力が発生するのは磁束の中を導体が移動したときです。このとき導体は磁束を切るように動いています。
したがって、誘導起電力が発生するのは「導体が磁束を切る」場合となります。
誘導電動機において、すべりが 0 になるのは、固定子側の回転磁束と回転子側の導体が同じ速度で移動している場合です。
すべり 0 のとき、磁束と導体は同じ速度で同一方向に移動します。
したがって、導体は磁束を切ることがなく、誘導起電力は 0 となります。
また、始動時(すべり 1 )のときは、次のようになります。
導体は動いておらず、磁束のみが動くため磁束の移動速度に応じた誘導起電力が導体に発生します。
つまり、すべりが小さくなって、磁束の移動速度である同期速度と導体の移動速度である回転速度に差がなくなるほど、この状態に近づくことになりますので、導体が磁束を切る速度が小さくなり、誘導起電力はすべりが小さいほど小さくなります。
2.周波数について
周波数も導体の移動速度に関係します。
〔Hz〕の式より、交流の周期 が短いほどほど周波数は大きくなります。
誘導電動機の始動時においては、磁束のみが移動するため、導体は早い速度で磁束を切ることになります。そのため、誘導起電力の周期は短くなり周波数は大きくなります。
逆に、すべりが0に近づくほど、磁束の回転速度(移動速度)と導体の移動速度の差がなくなるため、導体はゆっくり動いているのと同じになります。したがって、誘導起電力の周期は長くなり周波数は小さくなります。